前回よりデザインプロセスにおいて用いられてきた、既存のデザインメソッドについて紹介をしています。前回は「1. フィールドへ赴き、データを取得する」ためのメソッドとして、まず、量的データではなく、質的データに注目し、質的調査法として、口頭データと視覚データの様々な採取方法について説明をしました。その上で、目的に応じた複数の手法の組み合わせの事例として、エスノグラフィック・インタビューの一形態である、コンテクスチュアル・インクワイアリについて説明をし、その限界について言及いたしました。
第2弾となる今回は、2番目のプロセスである「2. 課題を発見し、仮説を構築する」ためのメソッドを紹介していきましょう。このプロセスでは、最初のプロセスである、「1. フィールドへ赴き、データを取得」するプロセスにて取得した”質的データ”を用いて、仮説を構築していきます。
このプロセスでは、フィールドにおける現象を理解するために、事象同士の関係形式としての「構造」を構成します。構造それ自体を表現したものを「モデル」と呼ぶことから、構造化の過程を「モデリング」と呼びます。モデルは、構造を視覚化することで、より深い理解をもたらし、議論の土台となるため、非常に有用なツールといえます。実際には、モデリングを通じて構築された複数のモデルをもとに仮説を構築することになります。以下では、様々なモデルを構築するメソッドを紹介していきましょう。