まとめと今後の展開

前回は、ソーシャルイノベーションのための構造構成主義的プロダクトデザイン手法の実践の最終回として、Wanic ToolkitとWanicシリーズを用いたビジネスモデルについて説明しました。ビジネスモデルについて説明するにあたって、まず、Wanicシリーズの製品ラインナップ、途上国・先進国を含む事業戦略を説明したのち、初期の事業展開先である東ティモールにおけるWanicシリーズのポジショニング、技術伝達を中心とした事業展開、ならびに、ビジネスモデルの考察について説明しました。

今回は、第25回目の記事、つまり、本ブログの最終回となりました。そこで、前半では、各章のまとめを行い、後半では、構造構成主義的プロダクトデザイン手法、Wanic/Wanic Toolkitの今後の展開について述べたいと思います。

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Innovation and Social Innovation

前回は、本blogのタイトルにも使用している2つのキーワード – デザイン思考とソーシャルイノベーション – に関して、それぞれの定義を中心に論じました。今回は、キーワードのうちの1つであるイノベーションについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

イノベーションという単語は、企業広告、大学教育、研究、様々な場所で用いられ、それを目にする人も若干食傷気味かもしれません。何も考えずに単語だけ使用するとたまに恥ずかしい目に会うこともあるので、まずは整理しておく必要があります。今回は、イノベーションの起源から始まり、派生したいくつかのイノベーションの類型について述べていきたいと思います。具体的には、シュンペーターによるイノベーション、破壊的イノベーションと持続的イノベーション、オープンイノベーション、ソーシャルイノベーションです。これらのそれぞれについて、起源と定義をまとめてみましょう。

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イントロダクション – No Tinkering, No Innovation

はじめに

このblogは、これまでの私の活動[1]に基づいて、ソーシャルイノベーションのためのデザイン理論および実践についてわかりやすく解説をしたいと思い立ち上げたものです。一部の内容についてはすでに雑誌や論文で掲載しているものですが,字数,図表などの資料の制限もないblogというメディアを最大限に活用し、全25回の連載を通じてデザイン理論と実践についてひと通り説明を行う予定です。原則として更新は週1回のペースを保ちつつ、半年で終了させたいと考えています。気ままにプロダクトやイベントなどの告知もするかもしれません。全25回のタイトルは、ナビゲーションメニューのコンテンツに掲載しています。なお、タイトルはIDEOのTim BrownとJocelyn WyattのStandford Social Innovation Reviewの記事[2]を意識しています。

[1] http://www.dangkang.com
[2] Brown and Wyat, 2010

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