ソーシャルイノベーションの事例 - OLPC

前回はソーシャルエンタープライズの事例として、米国NPOのKopernikを紹介いたしました。Kopernikは、利益追求を目的としないNPO法人であり、一般市民(個人)、市民団体、会社/大学をオンラインで媒介する場、すなわち、オンラインマーケットプレイスとして機能し、マッチングのための場の提供するというビジネスモデルを選択していました。

今回取り合げるのはOLPC – One Laptop Per Child – [1]です。前回と同様に、NPOを取り上げるわけですが、Kopernikが元コンサルタントを中心に設立されたのに対して、OLPCはマサチューセッツ工科大学のNicholas Negroponte(ニコラス・ネグロポンテ)を中心に、大学発NPOとして、2005年1月に、AMD、eBay、Google、News Corporation、Red Hat、Marvellらの寄付により設立されました。

[1] OLPC

 

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ソーシャルイノベーションの事例 - Kopernik

前回は、ソーシャルエンタープライズの事例として、KickStartを紹介いたしました。KickStartは、地元の人々が起業家としてスモールビジネスを興すことによって、持続可能な社会の形成、雇用の創出、経済の発展に貢献するためのツールを開発し、そのツールを販売することで、利益を獲得するビジネスモデルを採用していました。

今回紹介するソーシャルビジネスの主体は、米国NPOのKopernik(コペルニク)[1][2]です。Kopernikの登記地は米国ですが、共同創設者兼CEOが日本人であることから、日本との関係が深く、日本支部も存在いたします。また、東日本大震災でもソーラーランタン、ソーラー・イヤー(補聴器)を被災地に届けるプロジェクトが実施されました。

[1] コペルニク(日本版)
[2] Kopernik(Global)

Kopernikは、”テクノロジーマーケットプレイス”としての自らの位置づけによって特徴づけられています。まずこの事業コンセプトに関する説明を上記ホームページから抜粋しつつ説明いたします。

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ソーシャルイノベーションの事例 - KickStart

前回はソーシャルイノベーションの場としてのBOPに注目し、語義的な起源、定義、その特徴について述べてきました。本blogのテーマである、ソーシャルイノベーションのためのデザイン思考、および、デザイン手法について説明する前に、これから7回に渡って、ソーシャルイノベーションの担い手としての、企業、NPO、大学、研究機関を紹介し、具体的なプロダクト、サービス、システムについて説明していきたいと思います。特に前半3回で紹介する3団体は、それぞれが異なるビジネスモデルを採用しており、ソーシャルエンタープライズとして成立しています。

今回紹介するのは、KickStart(キックスタート)[1]です。KickStartは1991年にMartin FisherとNick Moonによって設立されたApproTECを起源とし、2005年に名称を変更し、現在のKickStartとなりました。彼らは、KickStartのミッションを「数百万人の人々の貧困からの救出」と定めています。彼らは、ケニアやその他の国々における”持続可能な経済成長”と”雇用創出の促進”を目的として、小規模で利益を出せる企業を設立し、経営を行うことを目的とした起業家によって利用される技術に注目し、これを開発し、広めていくことで、この目的を達成しようとしています。

[1] KickStart

さて、彼らのビジネスモデルは、貧しい起業家が自分自身の手で利益を生み出すビジネスを作り出すために利用可能な、お金を生み出すシンプルなツールを開発し、販売し、普及させるための5つのステップを基本としています。この5ステップの原文と拙訳を以下に掲載いたします。

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