前回は、ソーシャルイノベーションのための構造構成主義的プロダクトデザイン手法を紹介するにあたって、BOPのフィールドに既存のデザイン手法を適用する際の問題点を改めて説明したのち、実際のデザイン手法として、「デザイナの関心モデル構築」「フィールドの概念抽出および現象マッピング」「ソリューションモデルの構築」の3つのデザインプロセスについて、構造構成主義、および、SCQRMとの関連性を踏まえつつ、説明をいたしました。
今回より6回に渡って、構造構成主義的プロダクトデザイン手法の実践として、東ティモールで実施したフィールドワークをケーススタディとして,デザインプロセスの詳細を説明します。
具体的な流れとして、まず、フィールドワーク前に事前調査を行い、この調査結果に基づいてデザイナの関心モデルを構築いたしました(第19回)。そして、デザイナの関心モデルに基づいて関心相関的に調査項目を決定し、第1回フィールドワークに参加し、データを持ち帰り、現象マップおよびソリューションモデルを構築いたしました(第20回)。ソリューションモデルの構築プロセスを通じて導きだされた仮説に基づき、関心相関的に再度調査事項を決定し、第2回のフィールドワークに参加し、データを持ちかえり、現象マップおよびソリューションモデルを再構築いたしました(第21回)。このプロセスを通じて導きだされた修正仮説に基づきプロトタイプ(コンセプトモデル)を構築し(第22回)、このプロトタイプに基づいたビジネスモデル(第23回)を構築いたしました。
今回は、フィールドワーク前の事前調査から「デザイナの関心モデル構築」までの流れを説明したいと思います。